携帯電話の「出会い系サイト」が絡んだ犯罪が社会問題化する中、県教委は、2006年8月からこれまで計3回、学校規模や対象児童・生徒の年齢に応じて、聞き取りやアンケートで携帯電話の所有などについて調査した。
1回目は、小学生4・2%、中学生16%、高校生86・6%(特別支援学校は2回目から)で、いずれも増加している。
フィルタリング設定の調査は今年1、9月に実施。小学生38・4%が27%、中学生8・6%が17・2%、高校生2・8%が11・1%、特別支援学校の児童・生徒4・4%が13%と、小学生を除いて増えつつあるが、所有率に比べて低調となっている。
携帯電話販売大手NTTドコモ(東京都)によると、フィルタリング設定は、インターネット上の有害情報を選別し、携帯電話からの接続をブロックする機能で、無料サービスとして提供している。しかし同社広報は「販売時に同サービスをお知らせしているが、保護者の関心は携帯電話の使いすぎを防止する低料金サービスの方に目が行きがちで、安全利用についてはやや関心が薄いようだ」と話している。
中学3年生の長女がいる鹿児島市内の主婦(45)は「登下校の安全確保のため、入学と同時に買い与えた。ただ最近、自宅でも着信やメールの確認に気を取られているのが目につく。フィルタリング設定はしておらず、料金明細書でその利用状況を確認しているが、心配の種」と話す。
県教委では、携帯電話のトラブル例をまとめたパンフレットを各学校に配布していて、杉元羊一・生徒指導監は「ネットいじめも深刻化しているので、保護者は安易に携帯電話を持たせず、本当に必要かどうか見極めた上で買い与えてほしい」と呼びかけている。
情報教育が専門の園屋高志・鹿児島大教育学部付属教育実践総合センター教授は「携帯電話は今や必需品。一方的に持つことを禁止するのではなく、我が身を守る情報教育として、その利便性と怖さを小学校低学年のころから丁寧に教える必要がある。携帯電話の最新事情と問題点について、教師や保護者は日ごろから注意することも大切」と指摘している。