入国審査が簡略化されるマルシップ方式の近海マグロ船から外国人船員が相次いで失跡している問題で、今年の失跡者の約8割にあたる34人が、インドネシアの人材派遣会社3社の仲介を受け、日本に入国していたことが16日、わかった。
漁業関連団体でつくる「漁船マルシップ管理委員会」(東京都港区)は、船員の審査に問題があるとして、今後、この3社から派遣を受けた船員を乗せるマルシップ漁船の申請を認めない方針。
失跡者は今年に入って45人(2006年は23人)と急増。同委員会が、マルシップ漁船に乗り組む外国人船員の約9割を占めるインドネシアの漁業団体を通じて調査したところ、同国内の約20の派遣業者のうち、失跡はこの3社に集中していた。
マルシップ漁船に乗り組む外国人船員は、船主の依頼を受けた日本の仲介業者が、現地の人材派遣会社を通じて確保。現地では、水産学校を卒業するなどした船員希望者を募り、書類や面接などを通じて、派遣船員として登録する。
同委員会は調査の結果、現地の3社について、面接などでの漁業経験、就労意欲などの審査に問題があると判断した。
マルシップ方式の近海マグロ船は約180隻が操業しており、外国人乗組員は約1000人にのぼる。
同委員会は「インドネシアの3社は結果として、不法残留を助長させている。業界として失跡を防止する緊急措置が必要」とした。