東京都北区の総合病院「東十条病院」(院長・馬場操りんご会理事長)が、今月末から診療を休止すると表明した問題で、都は15日午前、同病院を経営する医療法人「りんご会」が休止を決定した際に定款上の手続きを怠っていた疑いがあるとして、医療法に基づき、病院の立ち入り検査に着手した。
関係者によると、同会は定款で、病院の休止など事業計画を変更する際には社員総会で議決すると定めているが、今年5月末の役員改選時以降は社員総会が開かれた形跡がないという。
このため、都は、同会が社員総会に諮らずに休止を決めた疑いがあるとみている。定款違反は、医師法で行政指導の対象としている「医療法人の不適切な運営」に該当する。
同会は先月末、昨年から病院経営が赤字に転じているうえに、多くの常勤医を受け入れている日大医学部から医師を引き揚げたいという話があったことを理由に、これ以上の病院経営はできないとして、休止を明らかにした。これに対し、日大側は「医師を派遣しないとは決めていない」と反論するなど、両者の主張に食い違いが生じており、都は休止の理由についても事実関係を確認する方針だ。
現在、同病院に残っている入院患者は約30人で、転院先はほぼ決まっている。
立ち入り検査について、同会は「責任者が検査に対応しているので、コメントできない」としている。