和歌山県橋本市に所有する住宅に住まわせていたホームレスの男を大阪市内に引っ越しさせる際、費用の見積書を偽造して生活保護費を不正に受給したとして、和歌山県警は11日、大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目、不動産会社社長加地元次容疑者(56)ら2人を生活保護法違反と有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。
県警によると、加地容疑者は橋本市内の住宅2軒に住まわせたホームレスの十数人に生活保護費を申請させ、市に対し相場より高い家賃を示し、住宅扶助費を2千万円近くだまし取った疑いもあり、詐欺容疑での立件も検討する。
ほかに逮捕されたのは住所不定、無職小松澄夫容疑者(56)。調べでは、2人は共謀して07年6月、橋本市内の住宅に住んでいた小松容疑者が大阪市東住吉区に転居する際、偽の見積書を橋本市に退出し、引っ越し費用や敷金など計約35万円を生活保護費として受給した疑い。
橋本市などによると、加地容疑者が住まわせていたのは、いずれも大阪市西成区などでテント生活や日雇い労働をしていた50〜60代の男性。住宅をベニヤ板で3畳の部屋に仕切り、そこを拠点に生活保護を申請させ、月に約9万円ずつの生活保護費を受給させていた。加地容疑者は、うち約3万円を受け取っていたという。
逮捕前、加地容疑者は朝日新聞の取材に「困っている人を助けようとしただけ」と話していた。