自分が開設した携帯電話の自殺サイトに投稿してきた女性の依頼を受けて、睡眠導入剤を大量に飲ませるなどして殺害したとして、神奈川県警高津署捜査本部は10日、千葉県市原市五井西、電気工斉藤一成被告(33)(麻薬及び向精神薬取締法違反で起訴)を嘱託殺人の疑いで逮捕した。
斉藤被告は「20万円の報酬を受け取った」と供述している。捜査本部は、斉藤被告の銀行口座にサイトを通じて睡眠導入剤を購入した十数人からの入金を確認しており、入金の経緯などを調べている。
調べによると、斉藤被告は4月12日深夜、川崎市高津区向ヶ丘、派遣社員西沢さやかさん(当時21歳)のマンションの部屋で、西沢さんの依頼を受け、睡眠導入剤を20〜30錠飲ませたうえ、頭からポリ袋をかぶせて殺害した疑い。「最後までみとってほしい」と頼まれたと供述しているという。死因は窒息死だった。
斉藤被告は昨年6月23日、自殺サイトを開設。西沢さんは今年4月5日、「死にたい」と投稿してきた。斉藤被告は「睡眠導入剤あります」などと返信し、数回にわたってメールをやりとりした。斉藤被告は20万円が口座に入金されたのを確認後、睡眠導入剤を持って、同12日に西沢さん方を訪ねていた。
西沢さんは1人暮らしで、3月に引っ越してきた。会社に出勤せず、携帯電話やメールに出ないのを不審に思った家族が4月16日、西沢さんの部屋を訪れ、遺体を見つけた。テーブルの上に、「死にます」と書かれた遺書があった。
県警は、西沢さんの部屋の鍵や携帯電話がなくなっているなど不審な点があることから捜査を開始。メールの履歴などから斉藤被告を割り出した。
斉藤被告は7月、自殺サイトで睡眠導入剤を売ったとして、麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的譲渡)の疑いで逮捕された。サイトでは「向精神薬売ります」と自殺志願者を募り、兵庫、埼玉、静岡、京都などの十数人に、「ハルシオン」「サイレース」という睡眠導入剤を売っていた。
睡眠導入剤の入手先について、「病院からの処方せんを受けて入手した」と供述している。