北海道釧路湿原周辺に生息する国の特別天然記念物タンチョウの水銀汚染問題で、1958年ごろから77年にはく製になった31羽に、動物園などで育ったタンチョウの平均で5倍近く、最大で約10倍の水銀が検出されていたことが6日、酪農学園大(江別市)の寺岡宏樹教授(獣医毒性学)らの研究で分かった。
寺岡教授は6月、88年から2004年にかけて死んだタンチョウから高濃度の水銀汚染を確認している。今回の研究で水銀汚染が長期間にわたっている実態が明らかになった。水銀は短期間に吸収した場合、運動機能や免疫力の低下、繁殖障害を引き起こすが、タンチョウへの影響は不明という。
寺岡教授は「北海道の道東で食べる餌が汚染されていた可能性が高まったが、汚染源については分からない。原因特定のため、中国やロシアなど他の地域に生息するタンチョウも調査したい」と話している。