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2007年10月05日(金) 06時00分

「布団よりもうかる」 販売不振で転換 L&G社朝日新聞

 健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区)による出資法違反容疑事件で、同社が投資商品を通じて会員から資金を集める現システムを01年に始めたのは、主商品だった布団の販売不振で資金繰りが悪化したためだったことが同社元幹部の証言でわかった。波和二(なみ・かずつぎ)会長は「物を売るより出資を募った方がもうかる」として、業務方針を変えたという。同社はその後、疑似通貨「円天」や高配当を宣伝して資金集めを拡大していった。

 L&Gは健康商品販売を目的に87年、東京・渋谷で創業。89年から、「バイオゴールド」と名付けた健康布団の販売を始め、業務を本格稼働した。その後、移転を繰り返し、93年に現本社のある新宿の10階建てビルに移った。さらに、千葉県や静岡県に配送センターなどをつくった。

 当時の主力商品だった健康布団は一式約40万円で、同社は「毎日ただ寝ているだけで自然免疫を高め、健康が維持できる世界で唯一の寝具」と宣伝して勧誘した。購入会員によると「布団自体は質がよく、長持ちするものだった」。個人と販売店契約を結び、布団を売ると紹介料が得られるシステムだったという。

 L&Gの元幹部によると、業績は思うように伸びず、関連会社によるほかの事業も不調だったため、会員から出資を募る方法に移行することにしたという。グループは01年11月、関連会社「L&Gあかり」を設立。「5万9000円を預けると3年後に10万円にして返す」と宣伝し、「あかり価格」という名の投資商品による金集めを始めた。

 この元幹部は「グループ会社の事業拡大や布団販売の営業経費で資金繰りが厳しくなり、波会長が突然、この金集めを言い出した」と証言する。

 L&Gがこの約2年後、「100万円を預ければ年利36%」とうたった「協力金」で資金集めを始めると、出資会員が次々増えたという。3年後配当の「あかり価格」に対し、「協力金」は3カ月ごとに9%の配当を3年間にわたって続ける仕組みにしたため、高齢者や主婦を中心に人気を呼んだとみられる。

 このころ波会長は社員に「物を売っても、仕入れなどで金を払わなくてはならない。出資を募った方がもうかる」と話し、「出資者に配当するために次の出資者を集めるんだ」と発破をかけていたという。

http://www.asahi.com/national/update/1004/TKY200710040349.html