インターネット大手「ヤフー」が、オークションサイトで偽造チケットを買った女性に対し、商品が届かないなどの被害にあった時に適用される補償規定に基づいて返金したことがわかった。規定では補償基準がはっきりしておらず、国民生活センターの指摘に対応した。ただ、この件を受け、ヤフーは詐欺などの被害に遭っても何らかの品が届けば補償しないよう規定を15日付で明確化。同センターは「最低限の消費者保護に努めるべきだ」と、なお改善を促している。
国民生活センターによると、女性は昨年4月、宝塚歌劇団の公演のチケット2枚を17万3000円で落札し、送金。チケットは届いたが、偽造チケットが出回っていることを知り、発行元に確認したところ、偽造とわかった。出品者には連絡がとれなくなっていた。
ヤフーオークションには、5000円以上の取引で詐欺の被害に遭い、ヤフーが補償の対象と判断した場合、50万円を限度に80%の補償金を支払う規定がある。
これを根拠に補償を求めた女性に対し、ヤフーは「この規定は代金を払ったのに商品を渡さなかったり、商品を送ったのに落札者が代金を払わなかったりした詐欺被害が該当する」と回答。異議申し立てにも「チケットは届いており、詐欺に当たらない」などと答えた。
女性からの相談を受け、国民生活センターの消費者苦情処理専門委員会が「補償規定があいまいで、広い範囲で補償するよう見せかけている」などと助言したところ、同社は補償金13万8400円を支払った。
ヤフーは今回の事態を受け、何も品物が届かなかったり、代金が支払われなかったりしたケースに補償対象を限るように規定を改める。