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2007年10月04日(木) 08時06分

「円天」宣伝し集金加速 「使っても減らない」朝日新聞

 健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区)による出資法違反容疑事件で、同社が独自の疑似通貨「円天」を会員勧誘の最大の売り物にして資金集めを加速させていたことがわかった。資金繰りの悪化で現金の配当を停止した時期には、波和二(なみ・かずつぎ)会長が、円天を積極的に宣伝して資金集めをするよう会員に命じていた。電子マネーの急速な普及に便乗して資金集めを続けていたとみられ、警視庁と宮城、福島両県警の合同捜査本部は円天の実態解明を進める。

 円天は、L&Gの会員が振り込んだ現金に応じてもらえるポイントのようなもの。複数の同社関係者によると、導入は05年ごろで、会員が保証金10万円以上を入金すると、それと同額の円天を毎年1回付与。残額は、携帯電話サイトで確認できる仕組みだった。

 当初は会員有志が野菜や不用品などをバザー形式で出品し、円天で取引していた。しかし、その後、L&Gは円天を「使っても減らないお金」と宣伝し、会員や出資金を集める手段に利用するようになった。

 06年2月には東京・銀座の商業ビルに「円天市場GINZA」を開設。全国の高級ホテルなどを借り切り、最盛期には月約100回の「市場」を開いた。市場には食料品から宝石類まで幅広い商品が出品され、今年2月にはパソコンから利用する「ウェブ円天」を開設した。

 円天市場には、会員からの出品のほか、会員の「加盟店」も納入していた。しかし、加盟店には代金の25%しか現金で支払われないため、円天市場の商品は、本来の4倍以上の円天価格がつけられていたという。

 同社は2月ごろ、資金繰りの悪化から現金配当を停止。しかし、同月11日付の内部文書によると、波会長は「インターネット市場の売り上げが驚異的な伸びを示している」「会員は『円天』欲しさに協力金、保証金制度を利用するようになる」と、引き続き円天を宣伝して出資金を獲得するように会員に指示していたとされる。

 3年間で約400万円を振り込んだという神奈川県の70代女性は「円天は当初は冷蔵庫などとも交換でき、携帯に残高が表示されるのも楽しみで、はまった」と話す。現在、約140万円天が使えないまま残っているという。

http://www.asahi.com/national/update/1003/TKY200710030350.html