同センターによると、封書による架空請求に関する相談は、7月中旬まではほとんどなかったが、7月末ごろから増え始め、8月は約100件に上った。差出人は三つに大別され、「○○総合法律事務所」「××合同法律事務所」など架空の法律事務所。封筒の表面に事務所の所在地として、渋谷区や新宿区の住所、電話番号、連絡先が印字され、親展が押印されている。
封筒の中に入っている書面は「訴訟提起通告書」と題し、「事件番号」や「裁判執行予定日」がもっともらしく印刷されている。文面は「通信販売会社から発注された商品代金の精算がまだのため、通販会社から支払い督促の申し立ての法的手続きの依頼があり、あなたを東京地裁に提訴した。後日、被告人として出廷してもらう」。財産の差し押さえ、利用している金融機関の全停止の手続きもあり得ると脅す一方、「誠意ある回答があれば早期解決も考えている。和解内容など詳しい内容の問い合わせは連絡ください」と続け、受取人に電話をかけさせるよう誘導している。
県内の40歳代の男性会社員は今年8月封書を受け取った。指定された“法律事務所”に連絡すると、「裁判を起こされている」と告げられ、67万円を振り込んだ。40歳代の自営業男性宅にも8月、同様の封書が届き、14万円を振り込んでしまった。
県消費生活センターによると、依然として、メールやはがきを使った架空請求も減っていないという。同センターは「裁判書類は必ず手渡しの特別送達の形で届く。また、具体的な商品名が明記されていないなど不自然な点も多いので、判断に迷ったらセンターに相談してほしい」と話している。