東京・新宿の健康商品販売会社「エル・アンド・ジー」(波和二会長)が、高額の配当や「円天」と呼ばれる独自通貨と引き換えに、全国約5万人の会員から多額の協力金を集めていた問題で、同社が今月下旬に多数の会員を集め、「今後は子会社が事業を受け継ぐ」と、活動の停止を通告していたことがわかった。
同社はこの際、「訴えれば協力金を返済できなくなる」と刑事告訴の動きをけん制していた。その後も協力金を返済する動きは見られず、一部の会員は、波会長らを出資法違反容疑で告訴することを検討している。
複数の会員によると、同社は今年2月、各地の会員に年36%の配当を停止することを一方的に通告。静岡や東京、北海道などでは損害賠償請求訴訟が起こされたため、同社は、返済希望者に「今年9月から分割払いで協力金の返済に応じる」と回答し、今月上旬には「9月28日に返済を始める」と説明していた。
ところが、28日の数日前になると、同社は、新規の会員を勧誘していた古手の会員たちを本社などに呼び出し、同社の資産を、波会長の親族が社長を務める子会社に移し、この子会社が事業を引き継ぐと説明。協力金については、「アラブの富豪から資金を調達し、経営を改善した上で返済する」と弁明する一方、「皆さんが勧誘した会員には、『訴えれば資金を返せなくなる』と説明してほしい」と訴えていた。
28日になっても協力金は返済されなかった。
同社が集めた資金は1000億円に上るとみられ、数千万円を支払った会員もいることから、返済希望者から相談を受けている都内の弁護士は、「刑事告訴に向けて被害会員の調整をしている」と話している。この問題について、同社は読売新聞の取材に応じていない。