日本郵政公社の本社や支社が2006年度に、天下り先の公益法人10法人から、専門紙や職員向け冊子など30種類の定期刊行物を大量に一括購入していたことが、わかった。
読売新聞の情報公開請求に対する開示資料によると、06年度までの3年間の購入総額は約16億円にのぼる。郵政民営化に向け、公社と関連法人との取引の見直し作業を進めている有識者委員会は、一部刊行物の一括購入廃止を提言しており、公社は「必要性に乏しいものも含まれている」として本社での一括購入の廃止を検討する。
開示資料によると、06年度の購入額は約3億4000万円で、05年度は15法人から39種約5億3000万円、04年度は16法人から48種約7億2000万円となっている。公社はコスト削減のため順次、購入量を減らしてきたとしている。
3年連続で購入額がトップの刊行物は、旧郵政省の元キャリア官僚が理事長を務める財団法人「通信文化振興会」(東京都)が週2回発行する新聞「通信文化新報」。06年度は、公社本社と関東支社で計約8400万円を支出した。公社の事業内容や郵便局の活動を伝える記事が多く、本社を通じて他の支社にも配布しているという。
法人別では、常勤役員4人全員が郵政OBの財団法人「簡易保険加入者協会」(東京都)への支出が最も多く、本社と12支社で06年度に9種計約1億1600万円分を購入。簡易保険のセールス技術向上を目的にした隔月発行の職員向け冊子「KAMPO SALES」(約6万5000冊)、月刊誌「保険展望」(約27万冊)などがあった。
会計法に準じた公社の契約基準では、160万円を超える物品購入は原則、競争入札だが、公社はこうした刊行物について、「市販されていない」「職員に有益な情報を掲載」として、各法人と随意契約で定期購読契約を結んでいた。国家公務員の再就職状況を調べた衆院調査局によると、06年度に購読契約した10法人は同年4月現在、常勤役員計20人のうち12人が旧郵政省などの省庁OBで、職員計約2400人の4人に1人は天下り職員だった。ほかに公社OBも含まれていた。
刊行物購入については、有識者による「郵政事業の関連法人の整理・見直し委員会」も、8月に公表した1次報告で指摘。通信文化新報について、外部から購入する必要性に欠けるとして、一括購入をやめるよう提言している。
日本郵政公社広報部の話「本社・支社での一括購入の経緯は、詳しく調べてみないとわからない。見直し作業の中で、購読の必要性があるのかどうか、きっちりと判断したい」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070925it01.htm?from=top