2007年09月19日(水) 08時01分
「傭兵」企業の認可取り消し イラク政府、米と綱引き(産経新聞)
【ワシントン=山本秀也】イラクで外交官らの警護にあたる米国の民間警備会社「ブラックウォーター社」をめぐって、米・イラク両政府が綱引きを演じている。同社の武装要員の銃撃でバグダッド市民が死亡したとして、イラク政府が同社の事業認可を17日に取り消したのに対し、ライス米国務長官は同日、マリキ首相に電話で真相究明を約束するなど、事態の沈静化に躍起だ。
米政府がイラクでの文民活動を保障するため、契約を交わした民間の武装要員は2万人を超える。事実上の傭兵を抱える民間警備会社の事業認可を、1社でもイラク政府が取り消すことを許せば、今後も米国の活動を支える“命脈”を、イラク政府に握られる先例となりかねないからだ。
事の発端は、バグダッド市内を移動中の米政府職員の車列を狙った16日の襲撃事件だ。AP通信などによると、自動車爆弾の爆発に続き武装集団が車列を銃撃したため、警護中のブラックウォーター社の武装要員が銃で反撃した。この銃撃戦でイラク人8人が死亡、14人が重軽傷を負った。
事態を重視したイラク内務省は、ブラックウォーター社の事業認可を取り消すと同時に、マリキ首相は「犯罪行為に対して捜査に乗り出した」と述べ、追及する構えを示した。
イラクで展開する米国系の危機管理会社は、米軍特殊部隊の現役隊員を高給でスカウトし、銃器からヘリコプターまでを装備する。問題となった事業認可は正規軍なら地位協定にあたるもので、取り消されると要員は丸腰でバグダッドを歩かざるを得ない。
ノースカロライナ州に本社をもつブラックウォーター社は、1997年に軍・警察の訓練コンサルタントとして設立。アフガニスタンを手始めに紛争地での警護サービスにビジネスを拡大。04年にはイラクで同社要員4人が武装組織の襲撃で惨殺されていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070919-00000069-san-int