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2007年09月18日(火) 01時53分

診療報酬詐取容疑で前病院長逮捕、職員ら架空入院か…福岡読売新聞

 病院職員らを架空入院させて診療報酬をだまし取ったとして、福岡県警は17日、福岡市南区大橋1、「安永病院」(150床)の前院長安永雅克容疑者(47)を詐欺容疑で逮捕、元事務次長長田司容疑者(53)(別の詐欺容疑で逮捕、17日処分保留で釈放)を同容疑で再逮捕した。

 同病院には2004〜06年末、病院職員や系列医療機関関係者延べ280人が「入院」したことになっているが、複数の職員が県警の調べに対して「安永容疑者から書類上の入院を強要された」と話しており、大がかりな詐欺事件に発展するとみている。

 調べによると、安永容疑者らは2006年12月30日〜07年1月4日、同病院の男性看護師(47)を急性アルコール中毒、06年12月30日〜07年1月3日には、同病院系列の医療機関の女性介護支援相談員(41)を急性胃炎で入院したように装い、診療報酬明細書を偽造。社会保険庁から審査を委任されている福岡県社会保険診療報酬支払基金に関係書類を提出し、診療報酬計約19万1000円を詐取した疑い。

 2人はレントゲンを撮るなどしただけで実際には入院せず、診察も受けていなかった。病名は安永容疑者の指示で決めていたという。

 長田容疑者は空きベッドを埋めるため、職員を架空の患者として入院したことにし、診療報酬を得る手口を安永容疑者に提案。職員が休暇を取る際に書類上だけの架空入院をさせ、従わない職員には、安永容疑者が「持ち場を変わりたいのか」「ヒラに格下げするぞ」などと、配置転換や降格をちらつかせて応じさせることもあったという。

 県警は、「入院患者」280人のうち、多くが架空入院だった可能性があるとみており、人数や被害額など実態解明を急いでいる。

 安永容疑者は「覚えがありません」と容疑を否認しているが、長田容疑者は認めているという。

 長田容疑者は、交通事故の保険金詐欺容疑で摘発されたグループが保険金を受け取る際、架空の診療報酬明細書を作って損保会社から診療費をだまし取った詐欺の疑いで先月27日、事務職員とともに逮捕されていた。安永容疑者は、同日に急きょ、病院長を辞任した。

 安永病院は、医療法人「聖和会」(福岡市南区大橋1)傘下の病院で、内科や外科、リハビリテーション科など7科の診療科目があり、職員数は約130人。聖和会には同病院のほか、介護老人保健施設や訪問看護ステーションなど系列医療機関がある。

 安永病院は「担当者がいないのでコメントできない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070917i414.htm