インドネシアのスマトラ島南西部ブンクル沖のインド洋で12日午後6時(日本時間同8時)すぎ、強い地震があった。米地質調査所によると、地震の規模はマグニチュード(M)8.2で、震源地はブンクルの南西約130キロ、震源の深さは約30キロ。インドネシア気象地球物理庁は、一時津波警報を出して警戒を呼びかけたが、約2時間後に解除した。震源に近い地域では建物が倒壊し、死傷者が出ている。
インドネシア・スマトラ島西部のパダンで12日、地震で倒壊した建物の周辺に集まった救助隊員ら(地元テレビの映像から)=ロイター
建物の外に避難するジャカルタ市民=ロイター
スマトラ島南西部の震源地の周辺地図
在メダン日本総領事館によると、西スマトラ州で12日夜現在、日本人が被害にあった情報はない。一方、日本の外務省によると、南スマトラ州とランプン州には計約60人の日本人が滞在しているが、全員の無事を確認した。
メトロTVは、現地自治体からの情報として、ブンクル北部で地震で倒れた樹木や家屋の下敷きになって1人が死亡、10人以上がけがをしたと伝えた。ブンクルから約300キロ北西のムコムコ県の警察当局者は「3階建てのビルが崩壊し、被害者が出ているかもしれない」と地元ラジオに語った。ブンクルに近い町や西岸のパダンで、多数の家屋が倒壊したとの情報もある。被災したと思われる地域では電話が通じにくくなっている。スマトラ島の多くの地域が停電になっているという。シンガポールや、ジャカルタなどジャワ島の各都市でも大きな揺れが感じられた。
米太平洋津波警報センター(ハワイ)は同日、インド洋沿岸全地域に津波のおそれがあるとの警戒情報を出した。AP通信によると、インドネシア気象当局者は同夜、「地震の20分後にパダンで1〜3メートルの津波が観測されたという報告があった」と述べた。
またインド、マレーシア、スリランカの各国政府も同日、津波警報をいったん出した。
スマトラ沖のインド洋では04年12月26日にマグニチュード9.0の大地震が起き、津波などで16万人以上が死亡・行方不明になったほか、今年3月にも中西部ソロク付近でマグニチュード6.3の地震があり、数十人の死者が出ている。
http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY200709120358.html