秋田県藤里町の連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた畠山鈴香被告(34)の初公判が12日午前、秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で始まった。罪状認否で畠山被告は、長女の彩香さん(当時9)の水死について「私は殺害を決意したことはありません。橋の欄干の上に乗せたことも、手で押したこともありません」と殺害を否定。2軒隣に住む米山豪憲君(当時7)の殺害は「間違いありません。ただ、精神状態が正常だったかは私にも分かりません」と述べた。
車両から秋田地裁に入る畠山鈴香被告を隠す地裁職員ら=12日午前10時23分、秋田市で
連続児童殺害事件の初公判が開かれる秋田地裁前には、雨の中、早朝から傍聴券を求める長い列が出来た=12日午前8時35分、秋田市で
畠山彩香さんが転落したとみられる藤琴川の大沢橋=11日午後、秋田県藤里町で
公判と並行して、被告の精神鑑定が実施されることが決まっている。約1カ月の間に2人の児童が相次いで亡くなった事件には動機面などで不可解な部分が多く、被告の心の内の解明が焦点となる。
起訴状によると畠山被告は(1)06年4月9日午後6時45分ごろ、同町の藤琴川にかかる大沢橋で、長女の彩香さんを欄干に乗せ、体を手で押して川に落として殺害した(殺人)(2)同年5月17日午後3時半ごろ、同町の自宅の玄関で、2軒隣に住む豪憲君を、腰ひもで首を絞めて殺害した(殺人)(3)豪憲君の遺体を軽乗用車で運び、同日午後4時5分ごろ、同県能代市の米代川岸の草むらに放置した(死体遺棄)——とされる。
初公判の前に裁判官、検察官、弁護人が非公開で証拠や主張を整理する「公判前整理手続き」が異例の長期に及び、昨年6月の最初の逮捕から約1年3カ月後の初公判となった。
公判は月2〜4回のペースで進み、年内に12回の審理が行われる。順調に進めば来年1月には論告・弁論、来春には判決の見通しだ。
http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY200709120092.html