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2007年09月02日(日) 03時02分

<原発補償金>地元漁協が町に寄付 2億円課税逃れる 島根毎日新聞

 島根原発2号機建設に伴い中国電力が地元漁協に支払った漁業補償・協力金のうち、島根県旧鹿島町(現・松江市)に「寄付」された7億5000万円が、05年までに全額、漁協側に還流する不透明な運用が行われていたことが分かった。町の基金を利用する形で、当時、町長と漁協組合長は同一人物だった。税法上、自治体への寄付金は非課税となり、同漁協はこれにより課税を免れたとみられる。
 地元の恵曇(えとも)漁協に対し84年に11億6000万円の漁業補償、85年に2億5000万円の協力金が支払われた。漁協は漁業補償のうち6億6000万円を組合員に分配したが、残り5億円と協力金全額の計7億5000万円を89年までに町へ「寄付」。町は86年に設けた「恵曇漁業開発基金」に積み立てた。
 ところが関係者や内部資料によると、町が松江市と合併した05年までにすべて漁協側へ還流。02年、「漁協経営改善助成金」名目で漁協の赤字補てんのため4億6000万円を充てたり、組合員の約1000世帯に計6500万円が分配されたが、多くは事業計画書などがないため不明。
 法人税法では、地方自治体への寄付金は非課税だが、寄付した本人のために使われることが明らかな場合は課税対象になると規定。資本金1億円以上の法人の課税率は30%で、単純計算をすれば同漁協の課税額は約2億2500万円となる。「寄付」から7年以上が経過し、税法上の時効にあたるため追徴課税の対象にはならない。
 恵曇漁協組合長は99年まで、旧鹿島町長(69)が兼務。基金の内部規約では「漁協の総会、総代会の議決を経て財産を処分することができる」とし、基金の使途などを決める運営協議会の委員は全員、漁協理事が務めていた。一方、この基金について当時の町幹部は「税金逃れのためということはみんな知っていた」と証言している。
 毎日新聞は元町長に4回にわたり取材を申し入れたが、「昔の話は覚えていない」などと拒否している。【酒造唯】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070902-00000007-mai-soci