警察庁は29日、銃器の摘発につながった情報の提供者に対し、来年4月から、1丁当たり10万円前後の「報奨金」を国費から支払う方針を固めた。金目当ての暴力団組員らの悪用を防ぐため、銃器の所有者らの検挙が条件。ただ、結果的に「国費で銃器を購入する」とも受け止められかねず、押収数減少に歯止めをかけられないでいる警察の窮余の策といえる。
計画では、警察が情報提供者に識別番号を伝え、提供者にはあらかじめパスワードを決めてもらう。提供された情報が決め手になって摘発した場合、警察庁のホームページで周知し、識別番号とパスワードで名乗り出た人を本人確認したうえで報奨金を支払う。
支払いは銃器の所有者や管理者の逮捕・書類送検が条件で、銃器が押収されただけでは支払わない。金に困った暴力団が不用な銃を処分しようとしたり、押収実績を伸ばすために警察官が不正を働いたりするのを防ぐためだ。また、所有者本人も支払いの対象外にする。
金額は海外の報奨金制度を参考に1丁当たり数万〜十数万円とすることを検討。多数の銃器を隠している「武器庫」の摘発につながった場合など、多額になることを想定して1回の支払額に上限を設ける考えだ。
同庁は08年度予算の概算要求に、情報受け付けの全国共通のフリーダイヤルの開設や広報の費用として計254万円を盛り込んだ。情報提供者への報奨金そのものは、国が都道府県警察に支給する捜査費から出す。
今年上半期の拳銃の押収数は244丁(昨年同期比18丁減)で、過去5年間で最低だった。特に暴力団からの押収は54丁減の75丁にとどまった。同庁は「人と銃のセットでの摘発が条件なので、銃器の買い上げにはならない」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0830/TKY200708290330.html