警察庁は、銃器押収につながる有力情報の提供者に、1丁につき10万円前後の「報奨金」を支払う制度を創設する方針を固めた。
匿名でも受け付けるが、対象となる銃器の所有者らを摘発できた場合にのみ支払う。銃隠匿の巧妙化が進み、押収量の減少傾向が続く中で警察庁は新制度を銃摘発の切り札としたい考えで、来春からの導入を目指す。
銃器情報については、各県警本部がそれぞれ「銃器110番」で受け付けているが、年間の情報提供は計100件程度。そのうち、押収につながるのはごく少数にとどまっている。このため、まず、この番号を全国共通の番号にして広く知ってもらったうえで情報を募る。報奨金は、銃1丁に対して数万円から十数万円の支払いを想定している。
ただ例えば、「銃取引が行われる」との情報で100丁の銃が押収された場合、1丁10万円とすると、報奨金は1000万円になる計算だが、合計の上限を設けるかどうかなど、細かい基準や金額は今後さらに詰める。匿名の場合は、ID番号などとして登録しておく。
報奨金はあくまで成功報酬で、銃が押収されただけでは支払わず、所有者や取引関係者などを特定し、逮捕された場合に支払う。暴力団関係者が報酬を得るために古い銃などを手放したり、安価で手に入れた銃を差し出したりすることを防ぐためで、銃押収時に容疑者が特定できなくても、その後の捜査で解明できれば支払い対象にする方針だ。
先進国では国が銃情報に金を支払う制度はないが、ボランティア団体「クライムストッパーズ」が20か国以上で犯罪情報全般に対して懸賞金をかけている。一事件あたりの上限は米国が1000ドル(約11万円)、英国1000ポンド(約23万円)、カナダ2000ドル(約22万円)など。同庁はこうした金額を参考に検討した。
国内では、特定非営利活動法人「日本ガーディアン・エンジェルス」が広島県で行っており、上限は10万円。
同庁によると、銃の押収は年々減少傾向にあり、昨年1年間の押収量は458丁。1997年の1225丁に比べ4割弱になっている。暴力団の抗争事件が減り、暴力団員が身近な場所に置いておく必要がなくなっている状況もあり、知人に預けたり、分散して隠したりするなど、隠匿方法は年々巧妙化しているためとみられる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070830i101.htm?from=main1