東京都台東区の吉原地区にあるソープランドから、みかじめ料(用心棒代)を受け取ったとして、警視庁に逮捕された暴力団幹部らが「最近は、他の地区の大きな暴力団が進出し、地元の組はみかじめ料を取りにくくなった」と供述していることがわかった。
吉原の風俗店街を巡っては、暴力団の“直営店”が進出しているとの情報も寄せられており、同庁は、風俗店が稼ぎ出す巨額の収益を狙って、複数の広域暴力団が吉原地区に入り込み始めたとみて警戒を強めている。
組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)の疑いで逮捕されたのは、同区浅草5に組事務所を置く指定暴力団山口組国粋会系組長の根岸英夫容疑者(65)(同区浅草)と組幹部ら3人。
同庁組織犯罪対策総務課の調べによると、根岸容疑者らは2004年11月〜今年5月、同区千束のソープランド店2店から売春による不法収益と知りながら、月計8万円、総額約250万円をみかじめ料として受け取っていた疑い。
吉原の風俗店街には現在、約150店のソープランドがある。国粋会は05年秋、山口組の傘下に入るまで台東区を中心にした独立系の暴力団で、根岸容疑者の組も従来、この地域を「縄張り」としていた。
今回逮捕された組幹部らは、同地区で活動していなかった山口組の他の傘下組織や、都内の他地域に勢力を持つ住吉会の進出が目立つことを指摘し、「これらの組がバックにいる店が増えた結果、地元の組はみかじめ料を集めにくくなった」と供述しているという。
吉原のソープランドは人気店になると、年1億円以上の収益があるとされ、同課は「多数の広域暴力団の進出によって、違法な収益がどこに流れているのかが、ますます見えにくくなった」と分析している。