警視庁立川署地域課の友野秀和巡査長(40)が飲食店従業員の佐藤陽子さん(32)を射殺した後に自殺したとみられる事件で、佐藤さんの知人が22日、読売新聞の取材に応じ、「佐藤さんは友野巡査長にストーカーされていた」「別の警察官にも『友野巡査長に付きまとわれて困っている』と相談していた」などと証言した。
佐藤さんの自宅前で朝まで友野巡査長が立っていたこともあったという。同庁も、両親などから同様の情報が寄せられたとして、事件は、友野巡査長による「ストーカー殺人」の疑いが強いとの見解を明らかにした。
同庁は今後、友野巡査長が、佐藤さんの交友関係などを知る目的で、職権を乱用していなかったかを中心に捜査を進めるが、異常な行動を見逃したまま、拳銃の携行が義務づけられる交番勤務に、友野巡査長を配置していた管理体制も厳しく問われることになる。
取材に応じたのは、佐藤さんが度々利用していた国分寺市内の飲食店の男性経営者(35)。
証言によると、今年5月、友野巡査長がこの店に突然現れ、いきなり経営者の本名や、佐藤さんが当時交際していた男性の名前を挙げ、佐藤さんの私生活について質問を始めた。経営者はほとんど答えなかったが、友野巡査長が2度目に姿を見せた時には、「佐藤さんのことを好きだ」「どうすればいいかわからない」などと言われ、その後、電話で佐藤さんにストーカー行為をしていることを打ち明けられたという。
一方、この経営者は佐藤さんから、「友野巡査長に朝まで家の外に立たれた」「旅行の帰りに羽田空港でも待ち伏せされた」などと相談されていた。佐藤さんは、自分が勤務するJR立川駅近くの飲食店に客として訪れた別の警察官に、友野巡査長について「付きまとわれて困っている」などと訴えたこともあったという。経営者は「佐藤さんからこの話を聞いたので、もう大丈夫だと思っていた」と語った。
一方、警視庁によると、佐藤さんの実家の両親も6月上旬、佐藤さんと電話で話をした際、深刻な口調で「警察官に付きまとわれ、自宅も見張られている」「立川署地域課の40歳の男性だ」と訴えられていた。
佐藤さんが今月15日、勤務先のJR立川駅近くの飲食店に最後に出勤した際には、友野巡査長が同僚4人と店を訪れており、同僚らが午後11時ごろに帰った後も友野巡査長は1人だけ残っていた。さらに友野巡査長が勤務中に突然、失跡した事件当日の20日にも、2人が携帯電話でメールを交わしていたことも判明。同庁はこの時のやり取りが事件解明のカギを握るとみて調べている。