経済産業省は、免震技術に基づく「揺れない」次世代原子炉の開発に着手する。来年度から8年間で官民折半により600億円の研究開発費を投じ、2025年の実用化を目指す。原発の官民開発は約20年ぶり。国内では2030年ごろには既存原発が相次いで更新期を迎えるため、同省は早期に免震技術導入にめどをつけ、代替炉建設を円滑に進めたい考えだ。
開発するのは、冷却に水を使う現行軽水炉の改良型。建物の基礎に特殊ゴムを付けるなどして地震の揺れを吸収する免震技術を導入する。
実用化できれば、大量のコンクリートで強度を高める現行の工法に比べて建設費は半分程度、工期も4割短い約2年半に収まり、施設の立地先も柔軟に選べるようになるという。
開発には、東芝、日立製作所など原子炉メーカーと、東京電力などの電力会社の計10社程度が参加する。各社が研究を分担し、同省は費用を半額補助して支援。来年度予算の概算要求には初年度分として約15億円を盛り込む。新潟県中越沖地震では、東電柏崎刈羽原発が設計時の想定の倍近い揺れに襲われ、トラブルが続出。安全性への不安も広がった。世界では地震多発国を含めて今後130基以上の新設が見込まれており、同省は「免震型を世界標準にしたい」としている。
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