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2007年08月17日(金) 09時45分

「白い恋人」 賞味期限、甘い設定 繁盛期は6カ月朝日新聞

 北海道の観光土産「白い恋人」に賞味期限の改ざんが見つかった問題で、製造・販売する石屋製菓(札幌市)が社内で「4カ月」と決めていた賞味期限を、自己都合で最大「6カ月」まで延長していた実態が明らかになった。賞味期限の延長は、いったん消費者に示した期限を書き換える改ざんとは異なり、直ちに違法行為ではないが、立ち入り検査をした札幌市保健所は「6カ月の根拠は科学的に不十分だ」と指摘する。

 通常は4カ月。繁盛期や在庫が膨らんだ場合は5〜6カ月——。製造元の石屋製菓ではこの10年間、「白い恋人」の包装に印字する賞味期限が、都合によって延長されてきた。こうした作業が、石水勲社長の了承のもとで日常的に行われていたことが、社長自らの会見で明らかになった。

 会見によると、賞味期限の延長は、96年に包装パッケージを一新してからずっと続けていたという。石水社長は16日の記者会見で、「消費者は新しいものを求めるから」と話した。

 これに対し、札幌市保健所は「賞味期限は、消費者に(食物を)安全に提供できる根拠」とし、期限が統一されていないことは消費者にとって「わかりにくい」と指摘。最大6カ月に延長していることについては「科学的根拠として不十分だ」との見解を示した。

 問題となった改ざんや菌検出の背景には、こうした期限延長などに見られる消費者軽視の姿勢があった。社長や統括部長(57)の会見によると、改ざんなどの経緯は次のようになる——。

 4月24日、発売30周年の記念包装で売れ残った「白い恋人」4476箱を前に、統括部長は「大丈夫だろう」と決意した。包装紙を張り替え、1カ月先の賞味期限を打って再出荷するやり方だった。しかし、社長には報告されなかった。

 6月27日、自社の定期検査でアイスキャンディーから大腸菌群が出た。その後の保健所の調査では破棄した商品4トンのうち8割以上から検出される深刻な事態だった。7月28日にはバウムクーヘンからも黄色ブドウ球菌を検出した。

 6月下旬、同社のホームページあてに、賞味期限の改ざんを告発する匿名のメールが届いた。7月には大腸菌群の検出を告発するメールも届いた。いずれも社内からと見られるが、報告を受けた統括部長は自分の胸にしまい込んだ。

 8月9日、匿名の告発が、札幌市保健所にもたらされた。翌日から立ち入り検査が入り、機材の不備を指摘された。同社は新聞広告で公表したが、賞味期限改ざんや食中毒菌のことは隠し続けた。

 「他にも不正があるんじゃないか。小出しにしていたら、大変なことになりますよ」。13日昼、顧問弁護士が社長に進言した。統括部長がすべてを打ち明けたのは同日夕。緊急の記者会見は、翌14日午後9時に開かれた。

 石水社長は創業家の2代目で、会社を現在の形にまで引っ張った。商工会議所の副会頭を務め、今春の札幌市長選では保守系候補の後援会幹部を務めた。社外の活動が忙しく、ここ数年は統括部長が実質的に経営を担っていた。

 「順風満帆で、会社が増長していたのかも知れない」。石水社長は会見で、こう話した。

http://www.asahi.com/national/update/0817/TKY200708170011.html