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2007年08月17日(金) 00時00分

親方日の丸読売新聞

 批判を浴びる社会保険庁に象徴されるように、倒産の心配がないことなどに安住する一部の公務員のいい加減な勤務態度を表すのに使われます。

 厳密には中央省庁と特殊法人が、この表現の対象ですが、より幅広く、公務員一般にも使われます。英訳は難しいのですが、あえて言えば、“ complacent bureaucrat syndrome ”でしょうか。

 安倍首相は先の参院選に向けて、社保庁の「親方日の丸」体質をやり玉に挙げていました。社保庁の年金記録漏れ問題を「今までの公務員制度の『親方日の丸』、あしき労働慣行の象徴だ」と糾弾する安倍首相の討論会での発言が、7月12日付読売新聞朝刊1面で伝えられました。これを訳すと、 Prime Minister Shinzo Abe said the Social Insurance Agency’s inaccurate pension records showed that the public servant system’s work practices had deteriorated while under the government’s protection. などとなります。

 また、社保庁職員は、パソコン端末を45分操作するごとに必ず15分の休憩が与えられていました。これは、SIA officials were given a mandatory 15‐minute break for every 45 minutes spent using a computer. となります。あくせく働かなくても大丈夫という「親方日の丸」的体質の象徴( a good example of poor motivation due to working for the government)でしょう。

 しゃくし定規に規則を当てはめれば事足りるという官僚主義も困ります。

 こういった官僚主義は昔、イギリスで役所の書類を赤いリボンで留めていたことに由来し、 red tape と表現されます。

 社保庁でもこうした紋切り型の対応が、年金保険料を支払ったのに「未納」とされたとして、記録の訂正を求める市民からの訴えを、領収書など物的証拠がないというだけで門前払いする結果を生んできました。これは The SIA’s red tape prevented revisions to agency records stating that pension premium payments were “unpaid” despite people claiming they paid premiums even though they did not have receipts or other concrete evidence. と言えます。

 赤いリボンははさみで切れますが、政府機関の官僚主義を打破するには政治家の強力なリーダーシップが必要だ( Politicians are expected to exercise their strong leaderships to cut through the red tape of government offices.)と感じている人も多いはずです。(上羽宏幸記者)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/learning/english/20070817us01.htm