16日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日比327円12銭安い1万6148円49銭となり、今年最安値を更新した。アジア各地の市場は軒並み日本以上に下落し、欧州も下落して推移。米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題は世界経済を引っ張ってきた米景気への不安へと拡大し、世界同時株安の連鎖が止まらない。一方、円は急騰、ロンドン市場では前日終値比3円以上上昇し、一時1ドル=113円台をつけた。
日経平均株価は取引時間中に最大で616円安まで下げ、昨年11月末以来約9カ月ぶりに一時1万6000円を割り込んだ。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の終値は同26.69ポイント低い1567.46。出来高は26億7000万株。
一方、東京外国為替市場の円相場は、一時は1ドル=115円71銭と、約5カ月ぶりの115円台にまで急伸。海外の株式市場が低迷していることで、低金利で調達した円を海外で運用する「円キャリー取引」を解消し、円を買い戻す動きが加速した。急速な円高が輸出企業の業績を悪化させる懸念から株式が売られる悪循環となった。
その後の海外市場では円高がさらに進み、ロンドンでは一時113円60銭と、ほぼ1年ぶりの円高水準となった。
サブプライム問題で世界株安になった10日から16日までの5営業日間の日経平均の下げ幅は計1022円に達した。今年最高値をつけた7月9日から1カ月余りで2100円を超える下落になった。
「日本の景気は堅調だが、株価が実体経済と離れ、金融不安で動いている」と大手証券のアナリスト。サブプライム問題の不安が解消しない限り、株価回復は難しいとの見方が出始めた。
だが、サブプライムの損失が世界に拡大し、影響を把握しにくいのが問題点。住宅ローンを証券化し、世界中の投資家などに販売しているためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、サブプライムローンの損失額を最大で1000億ドル(約11兆5000億円)と見積もったが、民間エコノミストは、損失がさらに膨らむ可能性を指摘する。
金融不安が高まることで米景気が悪化し、住宅ローンの不良債権化に拍車がかかる危険性があるためだ。住宅価格の下落が続けば、住宅の価値を担保に自動車などの高額商品を買ってきた人も苦しくなる。
株価や住宅価格が上がることが、米国人の旺盛な個人消費を支え、米国への輸出を通じて日本など他国も恩恵を受けてきた。しかし、米国の国内総生産(GDP)統計で4〜6月の個人消費の伸びが減速するなど陰りがみえ、それが世界の株価下落につながっている面もある。
16日の欧州株は、フランス、英国で一時、前日比3%超の大幅安となったほか、ドイツの下落幅も2%台後半で推移している。
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