松下電器産業の100%子会社の松下電池工業(大阪府守口市)と、世界最大の携帯電話メーカー、ノキア(フィンランド)などは14日、松下電池がノキアブランドとして製造した携帯電話用リチウムイオン充電池「BL—5C」が、充電中に発熱・膨張する恐れがあると発表した。
ノキアなどが無償交換に応じる。交換対象は国内の約16万個を含め世界で約4600万個に上り、リチウムイオン電池としては過去最大だ。交換費用は数百億円規模に達するとの見方もあり、松下電池やノキアの経営に打撃を与える可能性がある。
国内で充電池「BL—5C」を使用しているのは、ノキアの日本法人、ノキア・ジャパン3機種、NTTドコモ1機種、旧ボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)3機種の計7機種。全世界では、2005年12月から06年11月に製造された充電池「BL—5C」が対象となる。
松下電池によると、国内では今年7月末から8月上旬に、充電池の異常発熱が2件発生した。ノキアによると、全世界では約100件の異常発熱の報告があるという。製造工程で、電池の正極と負極を隔てる充電池内の部品に傷が付いたのが原因とみられ、充電時に大きな電流が流れるとショートして電池パックが膨張することがあるという。
この工程を採用した期間は05年12月〜06年11月で、現在は改善されたという。ノキアによると「BL—5C」は複数の電池メーカーが計3億個以上生産しているが、発熱などが発生したのは松下電池製だけだ。
リチウムイオン充電池を巡るトラブルでは、NTTドコモと三菱電機が2006年12月、携帯電話搭載の三洋電機子会社製充電池約130万個を無償交換すると発表。ノート型パソコン用では同年8月に、ソニー製充電池で発火事故が相次いだことが発覚、約960万個を無償交換している。
問い合わせは、ノキア・ジャパン(0120・830・670)、ソフトバンクモバイル(0088・21・0035)へ。NTTドコモは対象者にダイレクトメールなどで通知する。