2007年08月12日(日) 08時01分
三屋裕子前社長、退職金ゼロ 創業者夫妻には18億円(スポーツ報知)
今年6月に女性下着販売の「テン・アローズ」を解任された女子バレー五輪銅メダリストの三屋裕子前社長(49)ら取締役7人に、退職金が支払われなかったことが、11日までに分かった。役員への退職金支払い制度が2004年4月に廃止され、相当分が毎月の報酬に上乗せされていたことが理由。一方で創業家の林雅晴(72)、宏子(69)夫妻には、制度廃止後にもかかわらず、退職慰労金が夫妻で約18億円支払われており、処遇の差が鮮明になった。
社長の座を追われた三屋氏に、“退職金”は支払われなかった。一方で三屋氏を解任へと追い込んだ創業家には、約18億円もの退職慰労金が支給されていた。
テン・アローズ(06年5月まではシャルレ)は、役員の退職慰労金制度を2004年4月に廃止している。同年6月に社長に就任した三屋氏には、退職慰労金相当分が毎月の報酬に上乗せされていたため、退職金は全く支払われなかった。
しかし、04年6月、創業者の林雅晴会長が取締役を退任する際には、退職慰労金として9億円が支払われている。さらに06年6月、雅博氏の後任の宏子会長が退任する際にも、同じく約9億円が支払われた。同社は「創業者として30年以上会社をけん引してきた功績に見合う額」で、退職慰労金制度廃止までの在任期間に対して支給されたものだとしている。
雅晴氏の場合は、同社の取締役会で、退職慰労金基礎額1億1000万円(試算)に、会社への貢献度などの相当額として7億9000万円の「割り増し」が決められたという。関係者は「支給は株主総会の承認を経ており、手続き上の問題はない」と説明している。
ただ、基礎額とは違って「割り増し分」は退職金が支払われた年度の連結決算で特別損失として計上される。雅晴氏の「割り増し分」によって、05年3月期は経常ベースでの利益約13億円のうち約6割が消え、税引後の純損益は赤字に。宏子氏に退職金が支払われた06年度の連結決算も赤字となった。
三屋氏は、今年6月の株主総会で不信任動議が可決されて解任が決まり、「悔しさはないが、モスクワ五輪ボイコットで行けなかった時の感覚に似てる」と涙で語っていた。三屋氏らの総退陣後は、創業家の林夫妻の長男・勝哉氏(38)が社長に就任。宏子氏は取締役に復帰している。
今月10日に発表された同社の07年4〜6月期連結決算では、純損益が前年同期の4億円の赤字から、2億円の黒字へ転換。「業績不振」を理由に解任されたはずの三屋氏ら前経営陣によるリストラ効果が、退陣後になって明確に表れた形となった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070812-00000002-sph-soci