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2007年08月10日(金) 22時09分

自衛隊の武器使用「国連基準」に…集団的自衛権有識者懇読売新聞

 政府は10日、集団的自衛権に関する個別事例を研究する有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長=柳井俊二・前駐米大使)の第4回会合を首相官邸で開き、国際平和協力活動中に他国部隊が攻撃された際、自衛隊が駆けつけて反撃することの是非などについて集中的に議論した。

 自衛隊の武器使用基準を国連が平和維持活動で運用している基準に合わせ、こうした「駆けつけ警護」を可能にすべきだとの意見が大勢を占めた。

 現行の国連平和維持活動(PKO)協力法やイラク復興支援特別措置法では、自衛隊員の武器使用は、隊員と「自己の管理下に入った者」を守る際の正当防衛や緊急避難時などに限られている。同じ活動に従事する他国部隊が攻撃された場合に助ける駆けつけ警護に関しては、「憲法が禁じる海外での武力行使にあたる可能性がある」などの理由で、認められていない。

 会合では、出席者から「武力の行使を目的とせず、共同の任務を遂行している仲間を見捨てる形で武器使用を禁じるのは常識に反し、国際社会の非難を受ける。(憲法の)解釈変更が合理的だ」「自衛隊の国際的活動では、現場での信頼関係が不可欠だ。任務につかせる以上は国際的ルールにのっとった形で活動できることが基本だ」など、自衛隊の武器使用基準の緩和を求める声が相次いだ。

 懇談会は11月をめどにまとめる提言で、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を変更するよう求める方針だ。ただ、自民党の参院選惨敗などで、安倍首相が提言を具体化できるかどうか、不透明な情勢だ。

 首相は10日夕、首相官邸で記者団に「政策を進めていく上においては困難な状況になったと覚悟しているが、私が続投するのはあくまでも政策を前に進めていくためだ」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070810i115.htm