家電量販店とパソコン専門店が入り乱れて価格競争が展開されるパソコンの小売業界。親会社のビックカメラからテコ入れのために乗り込んだソフマップの社長に生き残り戦略を聞いた。
川下でのサポート野口 それほどでもありません。昔も今も自分の値引きの要求を通すのは、買物の楽しみの一つなのです。それよりも、親切で丁寧な接客で満足いただければ、お客様は値引きのことなんか忘れて、購入を決めてくれます。これまでに、ずいぶんそんな例を見てきました。価格差が1万円までなら、問題になりません。
野口 ええ。私自身、ビックカメラの渋谷や横浜の店頭で白物家電を売ってきました。コツは、声をかけるタイミングを見逃さず、買いたくなったときに背中を押すことです。それを間違うと、逃げられたり、嫌がられたりします。「つかず、離れず」。この距離感が大切です。そのためには、四方八方にアンテナを張り巡らさないとなりませんが。
野口 もう、パソコンのスペックに大差はありません。高齢化時代も考えると、決め手は利用者への支援体制です。かゆい所に手の届くサポートがなければ、生き残れなくなりました。そこまで面倒をみてくれるのなら多少料金が高くてもいい、と思わせる仕組みと体制で、差別化を図ります。メーカーもそれなりのサポートはしていますが、我々は川下でユーザーが求めることを最初に感じられる立場にいます。消費者心理から言っても、何か困ったときにお客様がまず問い合わせる先は、買った店なのです。私どもの「らくらくデジタルサポート100」サービスでは、「メモリ増設」から「データ復旧」まで、100のオプションをそろえています。
野口 スケールメリットが出て、仕入れ条件は改善されました。ポイントカードも統合に向けて検討に入っています。何より、「日本一活気ある企業」の傘下に入って社内が明るくなり、店頭に活気が出てきました。スローガンは「明るく元気に」。働く側にとっても、店を訪れる側にとっても、沈んでいる店内よりにぎやかな方がいいに決まっていますからね。