国有林のスギ、ヒノキの育成に出資して伐採時に配分金を受け取る林野庁の「緑のオーナー(分収育林)制度」を巡り、満期を迎えた個人、団体の契約1万件のうち9割以上が契約時の払込額を下回る「元本割れ」となっていることがわかった。
同庁では年3%の利回りを想定していたが、輸入木材に押され、国産木材の価格が低迷しており、今後満期を迎える約7万6000件についても、見通しが立っていない。
公募当初、同庁は、金融商品ではないなどとして元本割れのリスクは説明していなかった。
同制度は1口50万円か25万円を出して国有林の樹木の共有者となり、満期(最短で15年)を迎えた後に伐採、販売代金を配分する。公募は1984〜98年度に行われ、個人・団体から計約8万6000件の出資で約500億円を調達した。
99年度に初めて満期を迎え、この時は50万円の出資に対し平均受取額は54万円だったが、2000年度以降に元本割れが発生。05年度の平均受取額は27万7000円で、4分の1まで下落したケースもあった。
林野庁では、元本割れリスクについては、出資者からの問い合わせが増え始めた93年度から、募集のためのパンフレットに「元本を保証するものではない」などと記していた。同庁国有林野管理室では、「制度の目的は緑の確保で利殖目的ではないが、このようなことになり、出資者には申し訳ない」としている。