パキスタン最高裁は20日、ムシャラフ大統領がチョードリ最高裁長官に下した停職処分を違法とし、長官を復職させるよう命じる判決を出した。宗教施設に立てこもった武装神学生を軍が制圧して以降、イスラム保守派の反発が強まっていることに加えて、大統領側の主張が却下されたことで、ムシャラフ政権はさらに窮地に立たされるとみられる。
詳細な判決理由は後日示されるが、主任裁判官は「大統領の処分は違法だった」と語った。アジズ首相は「最高裁の判断を受け入れる」と語った。判決後、チョードリ長官の自宅周辺には弁護士や野党支持者ら数千人が集まり、「長官、万歳」「ムシャラフは去れ」などと叫んで気勢を上げた。
大統領は3月、長官の職務を差し止めた。息子の昇進に便宜を図るなどした「職権乱用」が理由だった。しかし、大統領は秋の大統領選を控え、陸軍参謀長を兼務したままで続投を狙っていると言われており、これに批判的な長官を排除する目的があったとみられていた。
3月以降、長官への処分に反発する野党の反政府デモが全国に拡大。5月には与野党支持者の衝突で約40人が死亡し、政権批判が強まっていた。
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