商品先物取引を巡る顧客とのトラブルを長年にわたり隠ぺいしていたとして、経済産業省と農林水産省は6日、商品先物大手の小林洋行(東京都中央区)に対して、商品取引所法に基づき、商品取引の受託業務を今月17日から9月13日まで(43営業日)停止する行政処分を出した。
同法は、先物取引会社に対し、顧客から苦情のあった取引を毎月、国に報告するよう求めている。経産省によると、同社はこうした取引を国への提出資料に載せていなかったほか、和解金の支払い状況を正確に報告しないなど、組織的な隠ぺい行為を続けていた。1999年度以降、報告しなかった顧客とのトラブルは600件を超すという。
同社は農産物や貴金属、石油製品などの商品先物取引を扱っているが、個人顧客に確実に利益があがると誤解させたり、顧客の指示を受けずに無断で売買を行っていたりした事実も確認された。「確実にもうかります」「大口顧客は法人扱いなので損しません」などといったセールストークが用いられたほか、損失を受けた顧客向けに損害を回復するキャンペーンと称して利益を保証するような勧誘も行われていたという。
こうした違反行為は、昨年1月の経産省による定期的な立ち入り検査で見つかった。小林洋行は「顧客や社会の信頼を損なう結果となったが、行政処分を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に取り組む」としている。