「2本で1000円」などと言って移動販売している物干しざおの購入を巡り、トラブルが急増していることが5日、国民生活センターの発表でわかった。
呼びかけとは異なる高額なさおを購入させられ、被害に遭う例が大半で、平均契約購入金額は約6万5000円。悪質な「さおだけ屋」が暴利をむさぼるからくりの一端が浮き彫りになった。
同センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた物干しざおなどに関する相談件数は、年々増え、2006年度は639件。01年度の288件に比べて約2・2倍になった。相談件数の9割は移動販売で購入しており、女性や高齢者の被害が目立った。
40歳代の主婦は、「2本で1000円」とアナウンスしていた移動販売車を呼び止め、2本買おうとしたところ「こっちの方がさびない」とステンレス製を勧められた。値段を聞いたが返答はなく、物干し台に合わせて切ってしまってから「1本2万円」と言われた。
消費者の目の前でさおを切り、買わざるを得ない状況に追い込んだり、物干し台が腐っていると言い、セットで買わせたりする悪質なケースが目立つ。いずれも巡回中の業者を呼び止めたことで断りにくくなった消費者の心理につけ込んだ手口だ。
クーリングオフできる場合もあるが、現金払いをした際、領収書をもらっていないため、業者に連絡できないまま泣き寝入りするケースが大半だ。
国民生活センターでは「希望の金額でない場合はきっぱりと断ることが大事」と話している。