交通事故で死亡した児童ら5人の写真をホームページ(HP)に無断で掲載したなどとして、著作権法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた、東京都あきる野市の元小学校教諭、渡辺敏郎被告(34)(懲戒免職)の判決が5日、東京地裁であった。
井口修裁判長は「亡くなったわが子の思い出を記録にとどめ、交通事故の被害の深刻さを広く社会に訴えて根絶を目指す遺族らの痛切な思いを踏みにじった卑劣な犯行」と述べ、渡辺被告に懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役2年6月)の有罪判決を言い渡した。
判決は、渡辺被告に小児性愛や死体を愛好する傾向があり、同じ性癖を持つ人間とインターネットを通じて接触するためにHPを開設したと指摘。「交通事故で死亡した子供の目を覆うばかりの無残な遺体の写真を掲載し、ゆがんだ性的好奇心をあおるようなコメントを付けた」とし、その結果、「遺族らは不眠状態に陥り、休職を余儀なくされるなどの深刻な被害を受けた」と述べた。
また、渡辺被告は、児童の裸の写真などをメールで送信していたが、判決は「児童ポルノを社会に拡散させる害悪や、児童が受ける被害を全く考えていなかった」とし、「小学校の教諭の職責に全く反する言語道断の振る舞い。愚かな行いにより、教育者に対する社会の信頼が損なわれた」と厳しく批判した。
一方、懲戒免職になっていることなどから執行猶予を付け、昨年から保護観察対象者に再犯防止の処遇プログラムを義務づけることができるようになったことを踏まえ、「猶予期間中、公的機関の監督に服させるべきだ」と判断した。
判決によると、渡辺被告は2005年9〜10月、交通事故などで子供を失った遺族が作ったHPから、17枚の写真を無断で自分のHPに掲載し、写真を撮影した遺族ら6人の著作権を侵害。05年8月には、自ら撮影した裸の少年の写真をHPを通じて知り合った相手にメールで送信した。