大阪府警は27日、インターネットゲームのソフト開発・販売会社「ヴィヴ」(東京都千代田区)が、CD—ROMを購入し会員になる際にクーリングオフ(無条件解約)制度の記載が不十分な契約書を交付した疑いが強まったとして、特定商取引法違反(不備書面の交付)容疑で同社や福岡市の関連会社など約10か所を捜索した。
ヴィヴ社は全国各地でセミナーを開き、聴覚障害者を積極的に会員に勧誘するマルチ商法を展開しており、今年2月までの2年半に約5500人から約30億円の入会金を集めていた。府警は、「必ずもうかる」とウソを言って集金した疑いもあるとみて詐欺容疑でも捜査する。
調べによると、ヴィヴ社の元社長(35)ら幹部3人は昨年2月中旬、大阪府東大阪市の男性会社員(28)を入会させた際、クーリングオフによる返金時に、支払う必要のない送料や事務手数料を差し引くなどと記載した契約書を渡した疑いが持たれている。
男性が参加した大阪市内のセミナーで、社長(当時)は「関連会社が運営するオンラインゲームの参加費から最低でも毎月8万円の配当が受けられる」「1度会員になると永久的に金もうけができる」などと説明したという。しかし、男性は全く配当金をもらえなかった。
府警によると、ヴィヴ社は2000年5月に設立。インターネット上でマージャンなどの対戦ができるオンラインゲームの参加費や広告収入を配当するとうたい、入会金として約53万円で事業概要を説明したCD—ROMを購入させる一方、知人を入会させれば1人あたり7万5000円のボーナスが得られるなどして会員を募っていた。しかし、ヴィヴ社は今年に入り、別会社に事業を譲渡、3月末で活動を休止している。
ヴィヴ社に関しては2005年以降、「配当がない」「解約に応じてもらえない」などの苦情が全国の消費者センターに計700件以上寄せられていた。