吉本興業の株主総会が26日、大阪市内で行われた。株主から一部週刊誌で報じられた漫才師中田カウス(57)と暴力団との関係や、元社員による使途不明金の存在について質問を受けた吉野伊佐男社長(65)は「報道はほとんどうそばかり」と否定。大きな混乱はなかった。総会後の特別公演でカウスが漫才で黒い交際をネタにするなど、一連の騒動すら笑いにした。
株主総会で黒い交際を否定した吉本興業が総会後の観劇会で、ヤクザを登場させて笑わせた。会場となった大阪厚生年金会館総で上演した新喜劇の演目は「道連れ股(また)ズレ子供連れ」。夫婦漫才師のもとに、ヤクザ2人が100万円を取り立てに来るというストーリー。元剣士の男がヤクザに対し包丁を突きつけるなど、普段以上に過激なシーンも盛り込まれた。
吉本社内では当初、株主の心情を配慮し、新喜劇からヤクザ役を排除する案も検討されていた。だが、ストーリー上必要不可欠であることや、通常通りの公演を見てもらうことで、株主に余計な心配を掛けないでおこうという声もあり、排除案が見送られたようだ。
この日の総会では冒頭、集まった758人の株主を前に、吉野社長が「昨今色々とお騒がせしてまして申し訳ございません」と謝罪。一部の株主からは、これまで週刊誌で報道されたカウスと暴力団との関係や、元役員の不正流用問題、経営陣と創業家の対立などについて、質問が飛んだ。
吉野社長は「虚偽の報道ばかりで、全く言われる筋合いのないことが多い。迷惑している」と何度も否定。不正流用問題については、調査委員会からの報告を受け次第、7月中に公表することも明かした。創業家側の故林裕章前会長の妻、林マサ氏は欠席した。
観劇会では、カウスも笑福亭仁鶴(70)に続き、新喜劇前の中トリで登場した。「話題の男、カウスです」「どこまで行っても白い男、カウスです」とあいさつすると、ネタ中にも「今日は全てを明らかにして帰ります」と、総会の内容を意識したアドリブを交えた。騒動を逆手にした笑いが手締めとなるのか。否定はしたが潔白も報道の虚偽を具体的に示すものはなかった。