北海道苫小牧市の食肉製造加工会社「ミートホープ」による牛肉偽装事件で、田中稔社長(68)は、別の食肉会社に勤めていた約40年前にも、馬肉と牛の脂で作った肉を「牛カルビ」として偽装販売していた疑いがあることが、取引のあった知人男性(67)の証言でわかった。
農林水産省が25日に発表した調査結果では、ミート社の24年前の不正行為が確認されたが、男性の証言は、田中社長の不正が、それ以前から始まっていた可能性を示している。
田中社長は、1976年にミート社を創業したが、それまでは苫小牧市に本社を置く別の食肉会社で、役員を務めていた。田中社長は、多くの工場を切り盛りする立場だったという。
男性は田中社長の古くからの知人で、飲食店を経営していた68〜71年ごろ、田中社長の紹介で、この食肉会社から「牛カルビ」を購入した。通常の半値で買えたため、「どうしてこんなに安く買えるのか」と疑問に思い、田中社長の案内で苫小牧市内の工場を見学。「牛カルビ」の製造工程で、馬肉に牛の脂を張り付ける作業を目の前で見た。田中社長は「いろんな方法があるんだよ」と言うだけで具体的な説明はしなかったが、「すぐに牛肉ではなく馬肉と分かった」という。