キヤノン、松下電器子会社、東芝子会社、トヨタ系列会社4社の「偽装請負」を内部告発した労働者10人が25日、偽装請負企業に対する罰則の厳格適用や直接雇用の指導を厚生労働省に要請した。内部告発に対する報復行為の取り締まりも求めた。
東芝家電製造に勤める小森彦(まさる)さん(39)、松下プラズマディスプレイ元社員の吉岡力(つとむ)さん(33)、光洋シーリングテクノ契約社員の矢部浩史さん(42)、キヤノンで請負で働く大野秀之さん(32)らが25日午前、東京・霞が関の厚労省に集まった。
全員、請負会社に雇われて大手メーカーの工場で働き、職場の偽装請負を労働局に申告した経験を持つ。所属する労働組合は連合系や全労連系などと異なるが、組織を超え、「偽装請負を内部告発する非正規ネット」というグループ名で力を合わせ、声を上げることにした。
小森さんらは柳沢厚労相あての要請書で「偽装請負に罰則を適用した事例がほとんどない」と行政の姿勢を批判。また、偽装請負を告発した労働者に企業側が報復する行為について「加害企業が被害者を再び痛めつけ、法秩序や労働行政に挑戦する犯罪行為だ」と指摘した。偽装請負や報復行為を積極的に処罰し、罰則そのものも強化するよう求めている。
小森さんは、東芝家電製造の大阪工場で約8年間、請負労働者として働いていた。昨年11月、大阪労働局に偽装請負を申告し、今年3月、契約社員として同社に直接雇用された。ところが、「6月末に期間満了」と雇い止めを通告されている。25日、厚労省前でマイクを握り、「違法行為への謝罪もなく雇用の安定を放り出そうとしている」などと訴えた。
http://www.asahi.com/national/update/0625/TKY200706250179.html