総務省は23日、過去に放送されたテレビ番組をネット配信したりDVDなどの形で販売したりする「二次利用」を促進するため、著作権などの情報を仲介する「コンテンツ(情報内容)取引市場」を2008年にも新設する方針を固めた。
脚本家や俳優など、番組に関係する権利者や二次利用の申込先などの情報をデータベースに集約し、インターネットを通じて二次利用を望む事業者に開放する仕組みだ。
日本のドラマやアニメ番組は、海外での人気が高く、総務省では日本のコンテンツビジネスの海外展開を支援する有力な道具にもなると期待している。
菅総務相が26日、取引市場の仕組みについて、情報通信審議会(総務相の諮問機関)の専門検討委員会に諮問する。総務省は答申を踏まえ、来年の通常国会に取引市場の創設を盛り込んだ「コンテンツ競争力強化促進法(仮称)」を提出する方針だ。
取引市場は、公益法人を想定し、情報集約の実効性を高めるため、テレビ局などに情報提供を求める権限を法律で定めることも検討する。市場を通じて直接、売買が行われるわけではないが、買い手に売り手の情報を仲介することで、取引が円滑に行われることが期待されている。海賊版などの不正流通を監視する調査機能も持たせる方向だ。
放映済みのテレビ番組は、権利の処理が複雑なために、十分な二次利用がされていない。例えば、一本のドラマにも、原作者や脚本家などの「著作権者」や出演者、歌手などの「著作隣接権者」が数多く関係している。現行制度では、二次利用をする場合、これらの権利者をすべて洗い出して許諾を得る必要がある。
総務省によると、05年の日本のコンテンツ市場規模は、前年比2・1%増の11兆2947億円に上る。政府は「今後10年間でコンテンツ市場を約5兆円拡大させる」という目標を掲げているが、実現には、市場全体の約3割を占めるテレビ番組の二次利用推進が不可欠となっている。
また、政府は取引所の整備により、海外の放送局などが日本のドラマやアニメを海外で放送したり、DVD化したりすることも容易になると見ている。
日本の地上テレビ番組の輸出額は06年度見込みで約100億円程度で、ゲーム産業の約2500億円に比べ、大きく立ち遅れている。