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2007年06月19日(火) 11時24分

<電磁波>WHOが環境保健基準を公表 各国に予防策を勧告毎日新聞

 送電線などから出る電磁波について、世界保健機関(WHO)は18日、環境保健基準を公表した。平均0.3〜0.4マイクロテスラ(テスラは磁界の強さの単位)以上の磁界に日常的にさらされる子どもは、もっと弱い磁界で暮らす子どもに比べ、小児白血病にかかる確率が2倍程度に高まる可能性があるとして、各国に予防策をとるよう勧めた。
 基準は電磁波のうち、送電線の電磁波(周波数50ヘルツか60ヘルツ)など、周波数の低い「超低周波」が対象。周波数の高い携帯電話の電磁波(800メガヘルツか1.5ギガヘルツ)や電子レンジの電磁波(2.45ギガヘルツ)は対象ではない。
 超低周波については、各国での医学的調査を総合した結果から、白血病になる率は0.4マイクロテスラ以上で約2倍、0.3マイクロテスラ以上で1.7倍になると分析されている。国際がん研究機関(IARC)は「発がん性がある可能性がある」と評価している。WHOも同様の結論に達したが、動物実験などでは発がんが立証されず、「電磁波と発がんに因果関係があるとまでは言えない」と指摘した。
 その上で、予防的考え方に基づく磁界の強さの安全指針づくり、予防のための磁界測定などの対策をとるよう勧告した。一方、白血病増加への影響は、あるとしても限られていると評価し、予防策の費用は非常に低く抑えるべきだとしている。
 国立成育医療センターの斎藤友博・成育疫学研究室長によると、小児白血病の患者は日本で年間800人から1000人程度。高圧送電線の近くで暮らすなど、0.4マイクロテスラ以上の磁界にさらされている子どもは全体の1%程度とみられ、磁界の影響で患者が年間数人増えている計算だという。
 経済産業省は今後、作業部会で対応を検討する。【高木昭午】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070619-00000033-mai-soci