数か月前になりますが、読売新聞夕刊の文化面に、女優の室井滋さんのインタビュー記事が載っていました。子供のころからお芝居が好きで、幼稚園や公民館でやるお芝居では「主役じゃないと気が済まない性格」だったそうです。
この「気が済まない」という言葉、読売新聞のデータベースで検索してみると、新聞記事中では多くの場合、人の性格を表現するために使われているようです。
「〜しないと気が済まない」を英語にすると、 would not be (is not) satisfied unless he or she does 〜 などとなります。
例えば冒頭の「主役じゃないと〜」を英語にすると、 She wouldn’t be satisfied unless she plays the main role in any play. となります。
さらにデータベースにはこんな記事も。執筆した記者の主観かもしれませんが、ゴルファーの宮里藍選手は「注目されていないと気が済まない」性格とのこと。これも She isn’t satisfied unless she is attracting people’s attention. となります。
また、塩崎恭久官房長官は「霞が関で起きていることをすべて承知しないと気が済まない性分」とか。この場合、ちょっと違った訳も可能です。
例えば、 Chief Cabinet Secretary Yasuhisa Shiozaki wouldn’t feel at ease until he knows everything that happens in Kasumigaseki. などとなります。 do not feel at ease は「落ち着かない」の意味です。
一方、「私は旅行に行くと温泉に入らないと気が済まない」なら、 I never fail to go to an onsen when I travel. (旅行に行くと絶対温泉に入る)などとも訳せます。
逆に、「気が済む」ならどうでしょう。
例えば、「おもちゃを買ってもらえなくて泣いていた子供が、かわりにアイスクリームをもらって気が済んだみたいだ」なら、 A child was crying because his parents wouldn’t buy him a toy he wanted, but later he looked pleased when they gave him an ice cream instead. などと訳します。
ところで、家にしろ仕事場にしろ、ぶつぶつ文句を言っていないと気が済まないというような人、周りにいませんか。そう言う人には、こう言ってあげるといいでしょう。 Can’t you do without grumbling like that all the time?(ぶつぶつ文句を言わないでいられないの?)
(塚原真美記者)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/learning/english/20070615us01.htm