警視庁は13日、同庁北沢署地域課の男性巡査長(26)の私物パソコンから、捜査資料など約1万件の文書類や画像がインターネット上に流出したと発表した。
問題のパソコンはファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」のウイルスに感染していたとみられ、供述調書や被害者の実名が入った強制わいせつ事件の告訴状とみられる文書など捜査対象者の個人情報も大量に流出している。警察庁では今年3月、全国の警察官の私物パソコンについてウィニーの有無を点検するよう指示し、警視庁も全職員を対象に調査を実施したが、この巡査長は「ウィニーはない」と虚偽の報告をしており、調査の不完全さも明らかになった。
警視庁によると、12日午前8時ごろ、ネットの掲示板に「警察情報が流出している」との書き込みがあったため、調べた結果、同日夜になって、該当する文書約9000件と画像約1000件の流出が確認された。文書は、少年事件の捜査資料や、カジノとばくに関する捜査報告書や供述調書、捜査対象者の銀行口座の分析資料など。
文書には巡査長の経歴書が含まれていたことから、同庁は流出元を巡査長と特定。13日朝から事情を聞いたところ、巡査長は「同僚からもらったデータをパソコンに取り込んでいた」と話した。巡査長の私有パソコン2台のうち1台にウィニーがインストールされていたことが判明。遅くとも今年4月にはウイルスに感染していたとみられる。
流出したデータは、同じ地域課の上司の巡査部長(32)がパソコンの外付けのハードディスクに保存しており、巡査長はこのハードディスクを借りたことがあった。この巡査部長は以前、警視庁組織犯罪対策1課などに所属しており、外国人犯罪に関する捜査情報なども流出した可能性もある。
北村博文・同庁警務部参事官の話「このような事案が発生したことは誠に遺憾。今後、厳正に対処したい」