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2007年06月06日(水) 03時05分

<年金番号>64年に93万件不明 社保庁認識も対策取らず毎日新聞

 社会保険庁が1964年、厚生年金の年金番号などを磁気ファイルに入力する際に93万件の年金番号が誰のものか分からなくなり、注意を促す通知を自治体などに出していたことが分かった。社保庁は約5000万件の不明記録について、80年代のオンライン化や97年の基礎年金番号導入が背景にあるとしてきた。60年代に問題を認識しながら実効性のある対策を取っていなかった実態が浮き彫りになった。
 5日の参院厚生労働委員会で桜井充議員(民主)が指摘した。通知は、64年9月1日に社保庁年金保険部業務課長が出した「厚生年金被保険者台帳記号番号の確認について」で、「機械処理による記録事故はすでに93万件に達している」「番号確認の適否は、保険給付の裁定等にも影響する」などと記されていた。
 社保庁は、60年ごろから厚生年金加入者の転職・再就職などに伴う届けがあった際、社会保険事務所の被保険者原票を本庁に送り、本庁で磁気ファイルに入力する作業を開始した。93万件はこの際、転職・再就職した被保険者について収録すべき元の年金番号が見つからないなどの理由で誰が支払ったか分からなくなり、年金番号が宙に浮いた形になった。
 桜井議員は厚労委で「(記録不明問題は)ずっと以前からあった。93万件の処理はその後どうしたか」とただしたが、青柳親房・同庁運営部長は「当時の記録が詳細に残ってはいないが、それぞれ補正されたと考えている」と答えるにとどまった。【野倉恵】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070606-00000010-mai-pol