2007年06月06日(水) 16時19分
大和都市管財 勝訴判決 「国の怠慢認めてくれた」 原告ら歓声、笑顔で握手(産経新聞)
「金融行政のずさんさがようやく認められた」。6日午前、大阪地裁で判決があった大和都市管財グループによる巨額詐欺事件の国賠訴訟。国に賠償を命じる判決が言い渡されると、傍聴席の原告らは「勝った」と叫び、涙ながらに固い握手を交わした。しかし、同社の財産処分などによる被害回復は総額の9%程度で、救済は進んでいない。「国はきちんと謝罪すべきだ」。判決後、被害者は改めて怒りの声を上げた。
午前10時、西川知一郎裁判長が判決を言い渡した瞬間、廷内では原告側の喜びの声が漏れた。笑顔で傍聴席に向けて親指を立てて見せた原告の姿も。大阪地裁南門に、弁護団の一人が「勝訴」と書かれた垂れ幕を手に飛び出してくると、被害者は「おおー」という歓声をあげ、拍手が起こった。
同社の抵当証券に2000万円をつぎ込んだという大阪市城東区の自営業の男性(71)は、大和都市管財が破綻(はたん)した平成13年4月16日朝のことが忘れられない。
朝起きると、「大和都市管財の破綻認定」を伝える新聞を家族に見せられた。「文字を目で追うことに精いっぱい。一瞬、頭が真っ白になった」。コツコツと貯(た)めてきた老後の蓄えが一瞬にして吹き飛んだ。
「わたしどものように安心確実な業者しか大蔵省の認可は下りません」。抵当証券の購入を勧める営業社員は「国のお墨付き」を強調し、購入を勧めた。「病院建設や医療機器の購入に融資している。社会に役立っています」。説明された購入資金の運用先も好感が持てた。
男性は若いころ、肺結核の疑いで希望先に就職できない経験があった。恩返しの気持ちを込め、「私のお金が少しでも役に立つのなら」と購入を決心。2000万円をつぎ込んだ。
しかし実際は、購入資金はグループ会社の経費などに消えていた。被害者弁護団が結成されると、すぐに参加した。何年も前から破綻同然だった経営状態が明らかになるにつれ、国に対する怒りがわき上がってきた。
「詐欺をはたらくような会社が、なぜ何年間も国から認可を受けていたのか」
しかし、国側の説明は「財産的基礎があったので認可してきた。自己責任だ」。訴訟に至る前の調停の場では、被害者の訴えにも「無言」の態度を貫いた。あまりに無責任な対応に我慢できず、「あんたらの目は節穴か」と声を荒らげたこともあったという。
国賠訴訟の提訴から4年間、ほとんど毎回のように法廷に通った。国の責任を認定した判決を勝ち取り、男性は閉廷後、「司法が正しい判断を下してくれた。本当にうれしい」と顔をほころばせた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070606-00000033-san-soci