国土交通省は4日、六本木ヒルズ「森タワー」(東京都港区)で今年4月に起きた日本オーチス・エレベータ(中央区)社製のエレベーター火災を受け、同社が保守管理する約5万基を対象にした緊急点検結果を発表した。
この結果、17都道府県の計80基に、エレベーターのかごをつるすワイヤロープの一部に破損があったり、ロープが伸びたりして、安全対策として何らかの対応が必要なことがわかった。同社では同日までに、ロープの交換などを終えたという。
緊急点検の対象は、同社が管理している計4万9853基。ワイヤロープは、鉄線の束をより合わせてできており、日本工業規格(JIS)の検査基準では、一つの束のうち5本以上の鉄線が破損したり、ロープが一定以上伸びたりしないように求めているが、点検では、計76基はJIS基準に適合していなかった。内訳はロープの破損が61基、伸びが15基だった。
またウレタンでロープを覆うタイプの1基については、建築基準法に基づく別の基準で、ウレタンが破れ、鉄線がはみ出していたという。他の3基はJIS基準には適合していたが、一部の鉄線が破損していた。
同省では「検査を明らかに怠っていたケースはなかった」としており、オーチス社は「保守点検や定期検査を充実させ、社会的責任を果たしていきたい」としている。