松下電器産業は30日、88年から01年までに製造した電子レンジ、冷蔵庫、衣類乾燥機計305万台に発火のおそれがあるとして、無償修理(リコール)すると発表した。松下側が把握しているだけで計23件の発火事故が起きており、1件は煙を吸った夫婦がのどに全治5日から10日の炎症を起こした。松下は「設計上問題があった」と説明している。300万台の一斉リコールは松下としては過去最大規模だという。
家電製品の発火について記者会見で説明する、松下ホームアプライアンス社の前川馨副社長。左端は榎坂純二社長=30日午後4時16分、大阪市北区で 製品番号の個所リコール対象になるのは、電子レンジが12機種193万1740台、冷蔵庫が5機種30万3487台、衣類乾燥機が11機種82万1578台。衣類乾燥機には三菱電機のブランドで販売した3機種も含む。いずれも、長年使用するうちに内部のはんだ付けにひびが入るなどして火花が飛び、周囲の樹脂に引火して発火事故が起きることがある。
対象機種はこれまでも発火事故を起こしていたものの、原因がわからなかった。06年秋から07年春にかけて発火事故が続いたため、松下が事故機を分解するなどして原因を調査。5月上旬までに設計上の問題があったことがわかったという。販売から10年以上経過している製品が多いため、現在使われているのは計26万台程度と松下は推定している。
松下が把握している23件の発火事故のうち13件は壁や床を焦がすなど周囲にも被害があった。02年10月に愛知県で衣類乾燥機が発火した事故では、煙を吸った夫婦がのどに炎症を負い、近くにおいてあった洗濯機も焼けたという。
記者会見した松下の家電部門、松下電器ホームアプライアンスの榎坂純二社長は「大変ご迷惑をおかけして申し訳ない」と陳謝。同社の前川馨副社長は「万一のことがあっても燃えない構造にする必要があった。設計の配慮不足だった」と認めた。
松下製品では一昨年に石油温風機による一酸化炭素(CO)中毒による死亡事故が発生。15万2000台をリコールした。その後も食器洗い乾燥機で15万7000台、マッサージチェアで6万9000台をリコールしている。
30日からフリーダイヤルで修理の申し込みや問い合わせを受け付けている。電子レンジは0120・871・682。冷蔵庫は末尾が337、衣類乾燥機は末尾が399。松下のホームページからも問い合わせできる。