松岡農水相をめぐっては、90年の初当選以来、「政治とカネ」についての疑惑が何度も指摘されてきた。
98年8月、鈴木宗男衆院議員をめぐる汚職事件で贈賄側となった製材会社「やまりん」(北海道帯広市)側から、200万円を受領していた。やまりん側は、鈴木議員と同様に松岡議員へも林野庁への働きかけを依頼したとされるが、松岡農水相側は疑惑が明るみに出た02年当時、資金の受領は認めたものの働きかけは否定していた。
松岡氏の事務所は「献金があったのは事実だが、やまりんからいかなる要望も受けていないし、林野庁にいかなる働きかけもしていない」などと説明していた。
昨秋、安倍内閣発足時に初めて閣僚に就任すると、さらなる疑惑が次々に噴出した。
まず、福岡県警に出資法違反容疑で捜索された資産運用会社の関連団体WBEFからパーティー券代100万円を受け取っていながら政治資金収支報告書に載せていなかったことが発覚。
閣僚就任当日に収支報告書を訂正したが、国会や記者会見などで、松岡氏本人は「この団体とは私も事務所も関係が一切ない」と説明し続けた。
しかし、今年初めには、WBEFのNPO法人認証をめぐり、松岡氏の秘書が内閣府に対し、審査状況を照会していた事実も明るみに出た。
松岡氏は「照会はしたのだろうが、はたらきかけはしていない」と説明していた。
松岡氏の資金管理団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」をめぐる疑惑も浮上した。
家賃や水道代のかからない議員会館だけに事務所を置きながら、多額の事務所費や光熱水費を計上していた。
光熱水費については、国会で「ナントカ還元水をつけている」と答弁。以来、何度も野党の追及を受けたが、そのたびに「法に基づいて適正に処理している」と繰り返すばかりだった。
最近では、松岡氏が、官製談合事件で東京地検特捜部に摘発された緑資源機構発注の林道調査事業を受注した法人と関係のある団体から、多額の政治献金を受けていたことも判明。共産党は国会で、林道などの事業と関係のある政治団体を含む計9団体が、農水相に計約1億3000万円の政治献金をしていたと指摘していた。
これに対し、松岡氏は「政治資金規正法に基づいて献金頂いた。適切にご報告申し上げたもの。それ以上申し上げることはない」などと答え、公共事業へのかかわりについて答弁を避けてきた。
林業土木コンサルタンツやフォレステックなど、今回の官製談合事件で公正取引委員会から職員らが告発されたり、立ち入り検査の対象となったりした公益法人・企業やその代表者が、計852万円を松岡氏側に献金していたことも判明している。
松岡氏の地元・熊本県阿蘇地域の建設業者は「東京地検特捜部の捜査が県内に及び、地元の業者の間では『松岡氏に捜査が伸びるのではないか』とうわさになっていた。捜査が自分に迫ってきたと思ったのではないか」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200705280298.html