【ニューヨーク=佐々木良寿】米ニューヨーク市検視局は、2001年9月11日の同時テロで世界貿易センタービルが崩壊した際に、現場近くで粉じんを吸い込んだのが原因で死亡したとする遺族の訴えを認め、「テロの犠牲者」と認定した。
粉じんによる病死をテロの犠牲と認定したのは初めて。これにより、公式のテロ犠牲者数は2750人となった。
認定されたのは、弁護士だったフェリシア・ダンジョーンズさん(42)で、事件当時、ビルから1ブロック離れた事務所から逃げる際に粉じんを吸い込み、その後、激しい咳や呼吸器系の疾患に苦しんで、5か月後に死亡した。
米紙によれば、遺族はすでに連邦政府の9・11犠牲者補償基金から補償を受けているが、市検視当局は、犠牲者認定を拒んでいた。認定に伴い、検視局は23日までに、ダンジョーンズさんの死因を「自然死から殺人に切り替える」との書簡を遺族に送った。
市は、救援やその後の復旧作業に当たった消防隊員や作業員らに粉じん被害を認める訴訟を起こされており、今回の認定は裁判の行方にも影響を与えるものと見られる。