商品の適正表示などを業界自ら推進する公正取引協議会制度で、全国組織の82の協議会のうち、3割近い23団体が、公正取引委員会から天下りを受け入れていることがわかった。
OBの再就職先として幅広く定着していることを示しているが、はちみつへの人工甘味料混入疑惑を長年「封印」してきた社団法人「全国はちみつ公正取引協議会」(東京都中央区)では、公取委OBの役員が疑惑について公取委への報告を怠っていたことが判明している。
各業界は景品表示法に基づき、公取委の認可を得て設立。公正競争規約と呼ばれる自主ルールを定め、表示や品質に違反が見つかった場合、業者への調査・指導のほか、公取委への報告を行う役割を担っている。
公取委のまとめでは、82協議会のうち7団体が社団法人で、このうち「全国はちみつ」「全国ローヤルゼリー」「全国家庭電気製品」「自動車」「首都圏不動産」の五つの公取協では、常勤理事や事務局長の計6人が公取委OB。それ以外の法人格のない協議会では、18団体に21人(1人は2団体を兼務)が事務局長などとして天下っていた。社団法人以外の多くは業界団体内に事務局を置き、給料は会員業者からの会費などで賄われていた。
公取委OBを受け入れている理由について、読売新聞が各協議会にアンケート調査したところ、「専門的な知識を持つ人材が必要」などの回答が最も多く、「企業色のない第三者として、公平な判断をしてもらいたいから」との答えもあった。
今回判明した人工甘味料混入疑惑では、業者同士にもたれ合いが生じ、協議会制度が事実上、骨抜きになっていたことが指摘されている。
これに対し、会員業者の一部がはちみつ公取協と重複する「全国ローヤルゼリー」では、会員業者の商品の成分検査を年1回実施、昨年度は酸の度合いなど基準を満たさない13商品が見つかり、公取委に報告したという。湯本富作事務局長(公取委OB)は「検査に落ちれば『公正マーク』の使用は認めない」と話す。
一方、「会員業者に厳しく接するのが我々の役割」と話すのは、食品関係の協議会事務局長を務める公取委OB。「業界をよい方向に向かわせるのが協議会の役割。それがOBとしてできなければ公取委に申し訳がたたない」と語った。