農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」が発注した林道整備の調査業務をめぐる入札談合事件で、東京地検特捜部は、同資源機構理事らが組織的に落札予定会社を割り振る官製談合だったとの見方を強めた。このため、談合していた同省所管の公益法人や民間コンサルタント会社の担当者とともに、同機構理事らに対しても、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で刑事責任を追及する方針を固めた模様だ。公正取引委員会は、検察当局への刑事告発に向けて詰めの調査を進めている。
関係者によると、同機構本部の課長が、各地の林道整備事業に伴う測量や環境調査の業務について、各地方建設部の林道課長から業者の受注希望などを取りまとめ、本部の担当理事のアドバイスを経て、年度ごとの受注業者の割り振りを決定していた。
各業者が前年度と同じ程度の業務を受注できるように配慮し、その割り振り結果を各地方建設部の課長に伝達。各課長から受注予定の各法人・社の入札担当者に伝えられていたという。
受注実績上位の法人・社はこれまで、同機構などのOBを多数受け入れていた。同機構幹部らは、天下り先の受注確保などのため、官製談合システムを維持していた疑いが強いという。
独禁法の処罰対象は事業者などが主体。しかし、関係者の事情聴取を進めている特捜部では、入札の落札予定会社を割り振っていた発注者側の同機構幹部らの行為が、受注業者の談合の成立に不可欠だったとの見方を強めた。このため、独禁法違反容疑の共犯として同機構幹部らの刑事責任を追及することが必要と判断したとみられる。
公取委は今年4月、改正独禁法で導入された犯則調査権に基づき、同機構と受注していた法人・社への捜索など、刑事告発を視野に強制調査に乗り出していた。特捜部も捜査態勢を拡充し、事情聴取などを進めている。
http://www.asahi.com/national/update/0518/TKY200705170379.html